山岳写真のトップカバー作品館

山岳写真の鈴木菊雄館表紙に使用した、作品解説や山岳情報です。
掲載期間:2014年4月〜2015年3月



 甲斐駒に咲く(2014年4月の表紙) 

 
 四方を山に囲まれた山梨県北杜市は、どこからでも八ヶ岳連峰や南アルプスの展望が
楽しめる恵まれた場所だ。3月になると梅や桃が開花、続いて桜の開花である。
同市観光協会のwebにも「日本が世界に誇る名桜のふるさと」とあるが、残雪を頂く高峰と桜は数多い。特に「眞原の桜並木」と残雪の甲斐駒ケ岳は見事である。
 





 新緑の上高地(2014年5月の表紙) 

 北アルプス玄関口の上高地は標高1500m、5月末から6月上旬は新緑と開花の季節だ。
梓川河岸の化粧柳の新緑、白い小梨やニリンソウなどが一斉に開花して最も華やである。
上高地は春でも、河童橋を前景に聳える穂高連峰は未だ純白の衣をまとっている。梓川と
雪化粧の穂高連峰、この時期しか見れない絶景である。




 初夏の谷川岳一の倉沢-1(2014年6月の表紙) 

 
 谷川岳東側の急峻な壁は日本の三大岩場ともいわれ、ロッククライミングのメッカである。登山口の一の倉沢には、5月になると谷を埋めていた残雪が溶け始める。渓谷の深い底にパックリ開いた姿が、数々の雪の造詣を生み出す。
 




 初夏の谷川岳一の倉沢-2(2014年7月の表紙) 

谷川岳の一の倉沢、残雪は年により異なるが7月になっても残雪が残る。雪解け直後には薄紫のシラネアオイなどの高山植物が一斉に開花する。背後は急峻な烏帽子岩や・衝立岩正面壁である。
 




 奥穂高山頂展望(2014年8月の表紙) 

穂高岳は奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳、前穂高岳、西穂高岳など3000mを超える峰から成る連峰である。その中の最高峰が標高3190mの奥穂高岳、頂上には小さな祠が祭られており、ジャンダルムやロバの耳など西穂高岳にかけては北アルプスでも厳しい岩稜縦走路が伸びている。




 アンナプルナT峰の貌(2014年9月の表紙) 

ネパール西部の登山口カ−レから歩行6日のアンナプルナ・ベースキャンプ、周囲は6000〜800m級の高峰に囲まれて急峻な岩稜や雪嶺が目前に迫っている。長い薄紫色の黎明の刻が過ぎると山頂部を紅に染めた朝陽は、短時間で麓の氷河まで駆け下る。雪壁の陰影が残り下部氷河にも日が射した時間帯を選び、アンナプルナの最も美し貌を捉えたものです。  山と溪谷社の「美しい世界の山」カレンダーの、2014年9月に掲載されました。
アンナプルナとはサンスクリット語で「豊穣の女神」、標高は世界で10番目の8,091m、作品の南壁は登頂の危険度が高く難易度が高いといわれています。




 秋彩のカール(2014年10月の表紙) 

10月になると北アルプス穂高岳の登山基地・涸沢は、最も華やかな秋彩の季節を迎える。
高山植物が一斉に開花する初夏と共に、涸沢の山小屋やテント場は、紅葉鑑賞を楽しむ岳人で満員になる。混雑の山小屋をさけて、最近は1人用のプライベートテントが増えたようだ。
夜は満天の天の川を鑑賞、黎明から奥穂高岳を染めるモルゲンロート、それからのんびりと紅葉散策、昼は近くの山小屋のテラスで生ビールとグルメのランチ、ほろ酔いになったらプライベートテントで午睡を楽しみ数日間は仕事を忘れて贅沢な日々が過ごせる。




 輝くチョー・オユー(2014年11月の表紙) 

チュー・オユーは世界第6位の標高8101m、ネパールとチベット中国国境に位置している。
8000m峰の中では比較的登り易いといわれて、エベレスト登頂のトレーニングの高峰としても知られている。位置的にはエベレストの西北になるが、周囲に個性的な岩峰が多いので目立たない高峰である。日が当たってくると陰影が無くなり面白みがない。撮影ベースのゴーキョを夜中に出発して北側の尾根に登頂、黎明より刻々と変化する雪面の光芒を撮影する。貌が西側にふっているためか、頂上には日が当たらず白光となった頃にやっと輝く全貌を見せてくれる。




星夜雪稜・槍ヶ岳(2014年12月の表紙)

厳冬期に北アルプスの稜線に立ち槍ヶ岳を望むのは難しいが、年末年始のみ山小屋燕山荘が
営業されている。長野県安曇野の有明登山口から歩行して1日目は中房温泉泊、2日目に合戦
尾根から燕岳稜線にある燕山荘に至る。
小屋上部の稜線に立ち強風の岩陰に三脚を立てると、月光に照らされた東鎌尾根の先端に天をつく槍ヶ岳が展望された。燕岳は槍ヶ岳が望める絶好の展望台である。




上空の世界遺産・富士山(2015年1月の表紙)

世界遺産になり夏季には登山者が急増した富士山、しかしこの山容は四方から眺めたほうが
素晴らしい。一般的には富士五湖周辺や東海道などが、古より風景画などで馴染みがある。
私は標高2000m以上の山稜からの富士を撮り続けているが、上空からとなると飛行機をチャーターでもしない限り難しい。この作品は、10月下旬の海外撮影の際に、偶然にも国際線の窓際席に恵めれた結果撮れたものだ。おまけに新雪の薄化粧をした富士山は登山道もクッキリと展望することができた。




 霧氷の山頂 (2015年2月の表紙)

群馬県赤城山・地蔵岳、大沼の適度な湿度と強風にさらせれて山稜の樹木は見事に氷結する。黎明の駐車場より深雪に足を取られながら約1時間、山頂は厚い雲に覆われていた。待つこと暫し、雲間からの寸光が、少しだけ顔を出し、輝く霧氷と大沼が姿を見出てくれた。
 




 春兆しの白馬三山 (2015年3月の表紙)

長野県北アルプス白馬連峰、前景に八方尾根の春の兆しの雪紋様を入れてみた。長い冬の積雪も3月になると、雪の層が雨で固まり更に風雪の紋様が表れてくる。冬季では膝上まで潜り歩行にも体力を使うが、この頃になると潜りにくくなり靴の底でも春の兆しを感じるようになってくる。
 




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