神は我に味方せず、翌朝は雪は止んだものの展望がない。フランケン氏によると、明日までは晴れ間は期待できないという。明日も同じ部屋を提供するというので、今日はツエルマットに下山して、晴れ予想の明日に再登することにした。往復に5時間くらいはかかるが、フランケン氏の温かい接待と情報を信じて登ってこよう。
下山の復路、雪が無ければ登山電車の駅まで1時間半程度であろうが、登山道も消えて何処が道か判らない。時には吹き溜まりで腰まで潜るなど、思わぬラッセルで3時間もかかってしまった。ツエルマットの街にも雪が降ったらしく、雪が所々に残っている。ホテルのマスターに聞くと、8月に入って市内に雪が降ったのは珍しいらしい。翌日は快晴、雪が解けない内にもう一度フランケンのヒュッテに泊まって、スイスでも珍しい真夏の雪を被ったマッターホルンを撮影することにした。気温が高いためか、草原には雪が残るものの、登山道からは消えている。待望のマッターホルンは、4日目にしてやっと全貌を現してくれた。ここから見るマッターホルンは北壁が多く見えるようになり、頂上部分が鳥のくちばしの様にオーバーハングしている。翌朝は、そのくちばし部分が真っ赤なモルゲンロートに輝き、感動的なシーンを演出してくれた。
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